3回目の緊急事態宣言が実施されました

3回目の緊急事態宣言が先日4月25日より実施されています。
前回の緊急事態宣言が先月3月21日に解除されてから約1か月で再び緊急事態下となりました。

前回の解除から約1か月での再実施にはいろいろな議論がありますが、
変異株の出現・拡大と近畿圏でのまん延防止等重点措置下での感染者数の急増、
それにこれからの連休での感染の拡大・第4波を食い止めるためにはやむを得ない措置でしょうか。

飲食店はもとより事業者の皆様には方針が目まぐるしく変わり大変なことと思いますが、
ここが踏ん張りどころと思ってみんなで頑張ってまいりましょう。

さて緊急事態宣言の発出と実施が当事務所のホームページ開設前後だったこともあり、
いまさら感はありますが、あらためて今回の緊急事態宣言の内容をおさらいしたいと思います。

今回のブログでは今回の緊急事態宣言(以下「宣言」)について、
以下のポイントからみていきたいと思います。

・宣言の実施期間と実施区域
・宣言の発出の経緯
・宣言の具体的な内容
・宣言解除の基準

宣言に伴う支援について

宣言の実施期間と実施区域

こちらはすでに皆さんもTVのニュースや新聞、ネットなどでご存じのとおりと思いますが、
いちおう記載しておきたいと思います。

まず宣言の実施期間は以下のとおりです。
 ・令和3年4月25日(日曜日)から令和3年5月11日(火曜日)まで17日間

なおより細かく時間まで記載すると以下のとおりになります
 ・令和3年4月25日(日曜日)0時から5月11日(火曜日)24時まで

上記をうけて、先週の日曜日にすでに東京の繁華街の百貨店では、
一部の食料品など生活必需品を販売する売り場を除き休業に入ったのはご存じのとおりです。

次に宣言の実施区域は以下のとおりです。
 ・東京都、大阪府、兵庫県、京都府

大阪府、兵庫県、京都府の近畿圏はすでに感染の拡大が感染者数の急激な増加に現れており、
まん延防止等重点措置(以下「重点措置」)実施後も感染者数に歯止めが利かず、
重症者の大幅な増加により医療体制もひっ迫したことから今回の宣言要請となりました。

また東京都については今後の感染者数の急増をにらみ、4月12日のまん延防止等重点措置実施から
わずか2週間足らずで宣言が実施されました。
一方で近隣の神奈川県、埼玉県、千葉県はまん延防止等重点措置が4月20日から実施されています。

以上が現時点での宣言の実施期間と実施区域となります。

ただ実施期間はあくまで目安であり、宣言解除の基本的な基準は後でも述べますように
実施区域が感染ステージⅣからステージⅢ相当になることです。
実際に1回目・2回目の宣言もそれぞれ期間延長がされていますので、
具体的な解除時期についてはゴールデンウイーク明けの感染動向によるでしょう。

また実施区域についても、現在重点措置が実施されている神奈川県、埼玉県、千葉県も、
今後の感染者の動向によっては新たに宣言が実施される可能性もあります。

今後も感染の動向とそれに対応する各自治体の動向を注意深く見守っていく必要がありそうです。

宣言の発出の趣旨

今回の宣言発出の経緯としては主に以下の点があげられます。

・大阪府、兵庫県、京都府などの近畿圏で2回目の宣言の早期解除後からの感染者増加し、
 重点措置実施後も感染拡大に歯止めがかからないこと
・上記近畿圏では感染者の増加に伴い重症者も急増し医療提供体制がひっ迫し
 すでに適切な対応が取れなくなりつつあること
・東京においては近畿圏ほどではないものの、現時点で飲食店への時短・休業や人流の抑制などの
 強い措置をとらなければ今後の近畿圏のような感染拡大が明白であること
・海外で主流になっている従来より感染力の強い変異株の国内の感染者に占める割合が
 大阪府・兵庫県では約8割、東京都でもおよそ3割まで増えていること
・上記を踏まえ、通常人の流れが大きくなるゴールデンウイークの連休中の
 感染の爆発的な拡大による第4波を未然に防ぐこと

なお29日現在においてこのブログを書いていますが、東京都の発表による昨日28日の報告日別
都内感染者は925人で1,000人に迫る勢いとなっています。宣言実施後は26日に425人に減少も、
27日828人、28日925人と2日続けて高水準で推移しており、残念ながら早期の宣言実施が
賢明であったことを裏付けるようなデータとなっています。

そうしたなかで、通常は人の移動や交流が増えさらなる感染拡大が予想されるGWの大型連休前に、
飲食店へのさらなる自粛・休業要請による感染拡大の起点となっている会食の場面への対策徹底と、
近隣や他県への移動も含めた人の流れを抑え込むことで第4波を抑え込もうというのが
今回の宣言の主な狙いとなります。

宣言の具体的な内容

次にこちらがメインになりますが、今回の宣言の具体的な要請内容です。

(1)外出・移動の自粛要請
 ・日中も含めた不要不急の外出・移動の自粛
 ・特に以下の事項の徹底を強く要請
  ①20時以降の不要不急の外出自粛
  ②混雑している場所や時間を避けて行動すること
  ③感染対策が徹底されていない飲食店等の利用は厳に控えること
 ・他の地域への感染拡大を防止する観点による不要不急の都道府県間の移動の自粛
 ・ただし医療機関への通院、食料・医薬品など生活必需品の買い出し、必要な職場への出勤、
  屋外の運動散歩など、生活や健康の維持のために必要なものについては外出の自粛要請の対象外

(2)催物(イベント等)などの無観客開催の要請
 催物(イベント等)の原則として無観客等での開催(社会生活の維持に必要なものを除く)

(3)飲食店・カラオケ店への休業要請
 ・酒類又はカラオケ設備を提供する店舗等への休業要請
 ・上記以外の飲食店でも20時までの営業時間短縮を要請(宅配・テイクアウトを除く)

(4)大規模商業施設への休業要請
 ・多数が利用する建築物の床面積の合計が千平方メートルを超える施設への休業要請
 ・ただし施設内でも生活必需物資を販売する店舗は休業要請の対象外

(5)路上・公園等における集団飲酒の自粛要請

(6) 職場への出勤の削減・在宅勤務(テレワーク)の推進
 ・事業者にテレワーク活用や連休中の休暇取得促進等により出勤者数の7割削減に努めるよう要請
 ・特に事業の継続に必要な場合を除く20時以降の勤務の抑制
 ・出勤する場合の時差出勤、自転車通勤等の人との接触を低減する取組の推進

なお学校などの教育機関については、部活動の自粛やオンライン授業の推進は推奨されていますが、
講義自体についての自粛要請は今のところ出ておりません。

主な内容は以上のとおりです。詳細は内閣官房HPをご覧ください。

また重点措置実施区域についても宣言実施区域に準じた要請が行われており、それ以外の区域でも
外出や移動、イベント等の開催、職場への出勤、施設の使用について、各自の感染防止につながる
取組と、自治体からの協力依頼に従うよう要請が出されています。

宣言解除の基準

次に宣言解除の基準についてみていきたいと思います。

さきほどの宣言の実施期間の項でも述べましたが、実施期間が5月11日までとなっていますが、
こちらの期限は希望的な目標としての目安に過ぎません。
実際はおそらく連休後の感染動向を踏まえて判断されることになると思われます。
つまり宣言により連休中に感染拡大の抑え込みが実現できたのかどうかを、
結果として連休後に判断するということになると思われます。

その際に具体的に宣言の発出や解除の基準となるのが、「感染ステージ」という考え方です。
詳細な説明は今回省きますが、感染ステージとは政府の「新型コロナウイルス感染症対策分科会」が
策定する指標で、各都道府県の感染レベルを4つのステージに分けて表します。

そのうち宣言が発出される目安が感染拡大爆発段階と言われるステージ4です。
大阪府や兵庫県ではすでに指標の元となる5つの計数の大部分がステージ4に到達しています。
一方でステージ3は感染急増段階とされており、ステージ4からステージ3に下がるということは、
いわば「感染爆発はひとまず防ぐことが出来た」という段階と思われます。
なので原則的にはステージ4からステージ3に下がることが宣言解除の目安となります。

しかし、実際には5つの計数ごとにステージの基準が定められてますので、
全ての計数が等しくステージを同じにするわけではありません。
なので実際には分科会の専門家などの意見により最終的に判断されることになりそうです。
日本医師会の中川会長も「宣言の発出は速やかに、解除はなるべく慎重なのが望ましい」と述べ、
ステージ3での速やかな宣言解除は妥当でなくステージ2が相当との考えも示唆しています。
過去2度の宣言もそれぞれ結果として期間延長されていることから、
今回も解除の時期が予定どおり5月11日となるかどうかはいまだ見とおせないところです。

宣言に伴う支援について

宣言の内容は上記のとおりですが、宣言で自粛を要請される事業者への支援はあるのでしょうか。
事業者としては自粛を余儀なくされる以上、それに見合う支援が当然欲しいところです。

まず国の支援ですが、経済産業省より28日に新たに「月次支援金」の発表がありました。
月次支援金の詳細な説明はまた後日させて頂きたいと思いますが、
大まかには4月以降の宣言や重点措置の実施で影響を受けた飲食店の取引先などを支援する制度で、
4月以降の月売上が前年・前々年同月比で50%以上減少した月につき、中小企業20万円、
個人事業主10万円を上限として支給される、一時支援金の月ごと申請バージョンのような制度です。

また宣言発令にともない、各都道府県が行なう支援金・協力金の財源として、
地方創生臨時交付金を新たに5,000億円積み増す政府方針が決まりました。
こちらは30日に閣議決定される予定です。つまり個別具体的な支援対応は各自治体に任せ、
政府は一定の財源拠出で支援するという役割分担かと思われます。

実際に東京都では宣言発出を受けて、従来のの飲食店等への感染拡大防止協力金に加え、
飲食店以外の中小企業、大規模施設に対しても、以下の支援金、協力金を23日に発表しています。

➀休業協力依頼等を行う中小企業等への支援金: 1店舗あたり34万円

②休業要請を行う大規模施設に対する協力金 : 大規模施設/ 1施設あたり340万円
                       テナント / 1事業所あたり34万円

東京都に限らず各自治体ごとに宣言や重点措置にともなう支援策が発表されていることと思います。
宣言や重点措置など事業者には苦しい状況が続きますが、受けられる支援は賢く利用したいですね。

当事務所でも各種支援金、協力金の申請サポートをしています。悩んでいらっしゃる事業者の方が
いらしゃいましたら、お気軽に問い合わせフォームよりお問い合わせください。

本日のまとめ

今回の緊急事態宣言の概要、いかがだったでしょうか。
だいぶ長文となってしまいすみません。今後はもっと簡潔になるよう努めたいと思います。

今回の緊急事態宣言のポイントは以下のとおりです。

  • 実施予定期間:4月25日(日曜)から5月11日(火曜)まで17日間
  • 宣言実施目的:感染拡大と医療逼迫を受けて連休中の飲食人流を抑制し第4波を未然に防止
  • 具体的な内容:外出移動自粛、催物無観客開催、飲食カラオケ大規模施設休業、通勤抑制など
  • 宣言解除基準:原則は実施区域の各計数のステージ3相当への移行も具体的な判断は流動的
  • 具体的支援策:政府は各自治体に5,000億円財源追加拠出、各自治体にて具体的支援策を策定

当事務所では給付金・助成金などを中心に、コロナ禍において事業者の皆様のお役に立つ情報を
お伝えしていきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。